そんなこんなで、葵宅から歩くこと30分。

 プライドの塊を捨ててここまでついて来た。

(ここっ、こんなことがパピーにバレたらどうなるか考えたくない!)

 葵を溺愛している父親が、男の家にお泊まりと知った際には、口から泡を吹いて倒れてしまうかもしれない。

 親バカとは本当に困ったものなのだ。

(葵は無事に生還出来るのかっ!?)

「みんな寝てるから静かに入ってね」

「お、お邪魔します……」

 こんな時でも礼儀正しく、挨拶をする葵。

 物音を立てないように家の中に入った。

 案内されるがままに2階へついて行く。

「葵ちゃんお風呂入った?」

 首を横に振る。

「じゃあ先に入る?」

「……下着がない」

「姉ちゃんのでよかったら貸すよー。着替えも用意しとくね」

 確実に胸のサイズが合わないだろう。

 お言葉に甘えて葵は先にお風呂に入ることにした。

(……なんか話がうまくいきすぎではないか? さてはあいつ、何か企んでいるんじゃないだろうな)