和音の言葉に小夜は振り向く。

『私が何か誤解しているって事ですか?』

「あくまで憶測に過ぎないがね」

ドキリとするような流し目で、和音は小夜を見つめる。

「僕みたいに愛を奏でる吟遊詩人は、全ての気持ちを調べにのせて伝えるものだが、スペシャルバカは沈黙こそ美徳…多くを語らぬ事こそ男らしさと思っている節があるからね…」

焚き火を眺めながら和音は続ける。

「どちらが正しいとか優劣をつけるつもりはないけれど、時には語る事も必要だと僕は思う…そうでないと、今の小夜のように、相手の気持ちがわからなくなって戸惑ってしまうからね…」