アドベンチャー旅行記


そして、誰にも作れない様な物を発明出来る程、化学の才能が優れているのに、三年位前、自ら大学の教授を辞めてしまった。何故辞めてしまったのか、その理由は毎年聞いているけれど、上手く話を逸らされたり「大人の事情だ」とか言って教えてもらえないでいる。ますますその疑問が増す一方だけど、「大人の事情」と言う言葉を、果たしてその場面で使う物なのか、と言う疑問一つ生まれながら、今だにそれは解決しない。

 天才的な知識が沢山入った叔父さんは、頭の良い人だけれど、とても明るくて、楽しいことが大好きだ。だから、いつもスリルを求める人だ。
 なんだか、俺とよく似ている。 ・・・いや、俺が似たのかも知れない。




 家の中に入ると、「よし!」と叔父さんが両手を楽しくパンッと叩いて言い出した。
「いつも通り、荷物は屋根裏部屋で解いてくれ」
「了解」
 屋根裏部屋に続く階段のドアを開けてくれたので、重い荷物を半分引きずりながら上がっていった。

 
 屋根裏部屋は、何から何まで変わりばえがなかった。物の配置も、家具も、何となくこの部屋の空気も、去年来たときと全く同じ。チェックのカーテンが付いた窓の側にはベッド。その左には、小さな木の机。低い天井には、明るい電球が一つ。しばらくぶりだから、毎年懐かしんでしまう。一年も来ていないのに何故、誇り塗れではなく、綺麗なままなのかは、恐らく叔父さんが、俺が来る前に掃除してくれたからだろう。去年もそうだった覚えがあるし、ドアの直ぐ横の壁に立てかけてある一本の汚れたモップがそれを物語っている。
 もし、掃除してくれてなかったらきっと今頃、誇り塗れで大変な事になっていただろうな。