歩きながら、俺はいろいろ考えていた。
みんなが寝静まった頃に家を飛び出したから俺がいないことに両親や兄妹は気付いたのだろうか。明日になれば級友達が心配するのだろうか。ここにはまだ、あの時のメンバーがいるのだろうか。
そんなことを考えて歩いていると見覚えのある噴水を見つけた。竜の形を模したそれはこの町のシンボルであり守り神なのだと小学生の頃に聞いた。
「まだあったんだな」
そう呟いてその噴水に手を置いてみた。昔はこうやって願うと願いが叶うと言われていたからよくみんなでやっていた。ヒーローになりたいとかお金持ちになりたいとか結婚したいとか世界征服したいとかいろいろ願っていた。よく考えてみれば叶うわけないだろうに。あの頃の俺達はそんな迷信を本気で信じていられるほど子供だったんだと思い知った。