目の前を行き交う人々。
もう時計の針は
次の日をさそうというのに
この街には人が溢れる。
その人混みに
のまれてしまおうと考えた。
立ち上がって
人混みへ足を向けて
あてもなくフラフラと歩いた。
このままどこかへ
消えてしまいたい、
なんて思ってた。
気がつくと人混みから
少し離れたところにいた。
近くにあった階段に
腰を下ろし
煙草に火をつけた。
「…美味し」
なんて思ったのも束の間。
視界がフッと影となった。
見上げると
高校生ぐらいの男数人が
私を見下ろしていた。
「こんなところで何してんのー?」
心配する言葉とは裏腹に
顔には笑みが満ちていた。
気にせず煙草を吸っていると
いきなり腕をつかまれた。