−午前10時−


私達は、電車で駅3つ分離れた街の画廊に来ていた。

この画廊は店の壁一面に売買される絵が掛けられており、画材も一緒に売られていた。


「あー…あったあった」


彼は漸く探し求めていた絵の具を見つけたようだ。


私は壁一面に掛かっている絵画を眺めながら言った。

「麻人はさー、油絵描かないの?」


彼の描く絵はアクリル画が主で、あとは技法を駆使したものやデッサン等々。


「え、油絵…ですか…?まぁ…そうですね、そう言われれば…描いてないです…」