−午後21時−


私は真剣に絵に没頭している彼の顔や、手の動きを見ていた。


男としてはものすごく細い体。白いワイシャツの胸元から覗く、くっきりと浮き出た鎖骨。


視線を上げると、いつもとは違う麻人の鋭い眼が私を捉えていて、何処を見ればいいのか分からなくなる。


その為、彼の服や床にこびり付いた絵の具をじっと見つめていた。


「…できました。」


「本当?みせてっ」


「は…はい。」