彼は私の手を引きながら、寝室の隣にある自分の部屋へと入って行った。


彼の部屋は今までに描き溜めてきた絵や、色々な画材が大量にあってアトリエの様になっている。


買ってきた鉛筆を紙袋から出す彼。


「何、描くの?」


鉛筆をカッタ-ナイフで削る彼の背中越しに尋ねてみた。


「亜希さん…を、描いてあげます」


「えっ…」


「そこ…に、座ってください」


変わらず緊張した面持ちで言いながら、彼は目の前の長机を指差した。