ザザーッ


車の窓を開けると聴こえる海の音。

いったい何回目の転校だろう?

最初はワクワクしていた新しい環境という世界。

今はもう慣れてしまっていた。



父親の転勤で何度も転々と居場所を変えてきた俺は

新しい学校に通う期間も短く、友達など作れなかった。


・・・いや作らなかったという方が正しい。


どうせすぐまた別れてしまう運命だと分かっていたから・・・



今回の転校先でもきっと友達などつくれないだろうな・・・

そう思いながら俺は窓の外を見つめていた。


サー・・・



…風が気持ちいい。

そこにふと父さんたちが声を掛けてきた。

「真央が通う学校、男子6人しかいないそうよ。仲良くなれるといいわね!」

「今回は珍しく1ヶ月転勤先に居られるからな!楽しめよ?」

「・・・うん」


1ヶ月…長いようで短い。

その間に俺がどう過ごすかによってその感覚は変わるだろうが・・・


俺にはこの場所はこの場限りの場所でしかない。