不思議な道具

泣き崩れるママを見て
奏はどうしていいのか
分からなかったが
ヨシちゃん(子犬)が
ママの元に駆けより
地面に座っているママの
太股で丸くなった。


「さてもう夜中になってしまう。
みなさん帰りましょう。」

と誰かが言った。


すると叔母さんが

「もうみんな帰るみたいだし
送ってあげるから車に乗りなさい。」

しかしママは

「いえ。私は徒歩で帰れますよ。
それにゆっくり空を見たいんです。
奏をお願いできますか?」

と空を見上げて言った。