「…ずるい。…ずるいよっ」

「えっ?」

小さく吐き出された言葉。
少しずつ大きくなる。

「…ずるいよっ、貴様は!!ずるすぎる!!」

「りっ梨沙!?落ち着けって」

「ずるいんだよ…貴様はぁ…」

Σぎゅっ
突然抱きついた梨沙。
いきなりのことに驚きを隠せない。

「私に優しすぎだ、貴様は」

「…えっ?」

「私が悪くても自分のせい、全部自分が悪かったって…そんなの不公平だっ」

「…はぁ」

思わず気の抜けた返事になる。
『ずるい、ずるい』って何を言うのかと思えば…

「そんなことかよ」

「そっそんな事って」

「あのなぁ、好きな女に優しくしない男はいねぇよ」

優しく抱きしめ返した。

「俺が優しくしたくてしてるんだからいいんだ」

「そっそれじゃなんか甘やかされてるだけじゃない…」

素直に『そうだね』って言えない梨沙。
いつもそうやって強がって生きてきたいからかな。
甘えることを知らずに育ってしまったから…

嫉妬とかしてる場合じゃなかった。
こんなに俺のこと考えてくれてるのに、嫉妬してただなんて恥ずかしい…

「それでいいんだよ。俺、梨沙の事、すげぇ猫かわいがりしてやるつもりだから。ウザいくらい甘やかすから」

「何それ(笑)」

クスクスと笑う。
…やっと笑った。

「やっと笑ったな」

「…えっ?」

きょとんとした梨沙。
そのまま見つめられる。

「…誘ってんの?」

「はぁ!?きっ貴様は何を言っているんだ///」

一気に赤くなった。