Σぎゅっ!!!

「!?」

「ありがとな、守ってくれて…」

震えた体で、涙声で、必死に抱きしめてくれた。

「りっ梨沙、俺…」

「ありがとな…本当に…」

振り向くとボロボロと泣いている梨沙がいた。

「俺…」

「貴様は『冷酷な鬼』なんかじゃないぞ。私を守ってくれたじゃないか」

『冷酷の鬼』なんかじゃない…
前にもそう言ってくれてた。

…また梨沙に救われてしまった。
護るつもりが守られてしまった。

「だから私は貴様を嫌いになったりなどしない!」

断言したかのように言い切った。

「…やっぱお前には敵わないな。また助けられて」

「?」

よくわかってないみたいだ。
そんな梨沙が愛おしくて、すげぇ好きなんだなって改めて実感した。

Σぎゅぅ
梨沙を抱きしめた。
強く強く抱きしめた。

最初は戸惑っていたみたいだが、抱きしめ返してくれた。