「痛くないですか?」

耳元にささやくような声。
俺の心臓が高鳴る。

「だっ大丈夫」

「そうですか。ご主人様、結構凝ってらっしゃいますね。お疲れですか?」

「まっまぁ…」

いつもと違いすぎる梨沙に戸惑いを隠せない。
メイドになりきっている。

「いつも振り回しちゃってますからね。今日くらいは…」

「梨沙?」

振り向くと優しい笑顔の梨沙が見えた。

「梨沙。そのキャラ設定、無理があると思うけど」

別にそんな風には思ってもいなかった。
だけど。だけど、これ以上そんな風にされたら、どうにかなってしまいそうだから…
心音が聞こえそうなほど、バクバクしている。

「そうか。やっぱりか…私は結構嫌いじゃないんだけどな」

「…そう(笑)」

「あっ、今笑ったな!」

「笑ってない、笑ってない(笑)」

「そう言って笑ってるじゃないかぁぁ!!」

「イテテテテテテッ…」

「あっすまん!」

「…もう、これで十分だ。…交代すっか」

「…えっ?」

「交代!いいから座れって」

梨沙を無理やり座らせる。
そして肩もみを始めた。