「最初に事件が起きたときに君に遺体の名前を教えた人物のことだけど、また詳しく話を聞くことがあるかもしれない」
言乃はちょっと困った顔をして、また携帯に打ち込む。
【僅かな間のことでしたから、高橋さんにお話した以上のことは何も言えませんが、それでよろしければ】
言乃の答えに高橋は安心したように微笑んだ。
「ありがとう。実は、話を聞くのは僕じゃなくて先輩の…あ、いや別の刑事なんだ。だから彼にまた同じ話でいいからしてほしい」
思わず朋恵の父、と言ってしまいそうになって言い換えた高橋。
彼はしきりに横を気にしながら、ぎこちなく笑う。
高橋の様子に言乃は困惑した顔を浮かべつつも、文面は了解の意を示した。
「本当に不思議ね、あの子たち」
「え? あ、屋代さんと舘見さんですか」
ビクっと飛び上がったように高橋は振り返る。
「情報の出所も、出してくる情報も、なんなのかしら」
「日奈山くんが深くかかわっていますから、必死なんじゃないでしょうか?」
「それにしてもさあ?」
「言いたいことはわかりますけど、僕たちに知る由はないじゃないですか」
高橋は困ったように返す。
朋恵も変わらずムーと顔をしかめたままだが、ここで考えてもキリがない。
切りかえるようにおおきく伸びをして朋恵は席を立つ。


