泡沫眼角-ウタカタメカド-


言乃と恵が黒羽に間を取り付けてもらっていたのは、狭間家の後妻に当たる人間、静江。

そこで言乃たちは治の息子は二人いたこと、しかし二人目を産んだ際に前妻は亡くなってしまっていることを聞いてきた。

【静江さんは、前の奥さんである波江さんのお姉さんだそうで、もともと姉妹で仲が良かったそうですよ。二人のお世話に会を出入りしているうちに籍を入れたとお聞きしました】

「腹は痛めていないけれど、二人とも自分の子のように育てたと言ってました。私たちの主観ですけど、あの人はきっと嘘はついてないと思います!」

恵の訴えに、朋恵はゆっくりと頷いた。

「そこまで詳しい情報をありがとう。ただね、貴女たちがどうして今まで捜査の上にも上がって来なかった人間の話をするのか、そしてその名前がどうして日奈山の口からも飛び出るのかが気になったのよ」

恵は言乃にパッと視線を向けた。
朋恵相手、いや警察相手に幽霊がいたからなんて話をすることは出来ない。
まして、その幽霊が炯斗の体にとりついていたから、なんてことを話しても、到底信じられまい。

そんな恵の焦りを安心させるように言乃は恵に頷き、携帯に文字を打ち込む。

【“ファントム”です】

「ファントム?」

高橋が首をかしげる。朋恵は僅かに眉根を寄せて静かに聞いている。