泡沫眼角-ウタカタメカド-

二人の記憶と違わぬ炯斗の声に、ほっと安心するも次の瞬間には朋恵の我慢は切れた。


「日奈山っ!? あんた今どこで何してんの!」

『うーわっ、叫ばないでクダサイ、ミミガイタイデス』

「ふざけてる場合じゃないでしょ…‼」

『ごめんごめん…』

ハハハと反省しているのかいないのかと言いたくなる笑い声が聞こえてくる。
いつもの日奈山である。
それだけに、この事件への関連性がよくわからない。


「で、もう一度聞くけどどこで何をしてるの。そして、あんたは何をしたの」


しばらくの沈黙。
炯斗の方も、どう答えるべきか逡巡しているようで唸り声がわずかに聞こえる。


「この音…たぶん車に乗ってますね」

横で高橋が囁く。
となると、基地局からの追跡はこちらが後手に回るだけか。
もっともこの状況で炯斗のことを逆探知しようとは朋恵は思っていなかった。


『どこってのは言えない。あと、俺たちは殺人事件には関わってない。近くにいたのは確かだけどなんもしてない。
でも…別の罪なら犯した、かな』

「「はぁ?」」

高橋とそろって首をかしげる。
この状況でさらに別の罪とは一体──…


『〇県△市にある禅在のアジトのとこにいってみてよ。その庭に不法侵入して、勝手に穴掘ったから』

「は…? 意味が分からないんだけど…」

『そこに、比津次会を継ぐはずだった狭間 勲(ハザマ イサム)の白骨死体がある。俺たちはそれを掘り起こした』

「……え?」


朋恵の脳が完全に混乱してショートした。
ハザマイサム…?
隣では同様に困惑しながらも高橋が急いでメモを取っている。

「ちょっと待って、それって今回の連続殺人事件と関係して…いる…の?」