泡沫眼角-ウタカタメカド-


「またファントムか…」
「一体、何者なんだ?」
「うちの組ばかり…」

脇でさまざまな憶測が飛び交うのが聞こえてくる。
そのうちで、誰かだ一言発したとたん、張り詰めたように静まった。


「やっぱり、禅在の仕業だ!」


押し黙る者、強く頷く者、なんとも言えない者。
しかし誰もが口を噤んでいる。

そんな状況で、言乃は恵の肩を叩いた。

「! …これって、ことのん…」

精一杯嫌だオーラを出すものの、言乃はこくんと頷き携帯を示すだけ。
大きくため息をついて、恵は震える声を紡いだ。


「あのぉ…禅在の組の方々とは、どういったご関係で…?
え、あ、いや、ごめんなさい言いたくなかったらいいです! はい!!」

視線が向いた瞬間、悪くないのに幾度も謝る恵。
その時、カラリ、と軽い音を立て襖が開いた。

「おお茶とお菓子、もって、来ました!」

「…何だ、トシオくんか」


──救いの神だと思って損した。

ふう、とトシオは一回息を出来るだけさわやかに吐いて。

「おおい! こらこらキミ! 今絶対に僕に失礼なこと思っただろう!」

「思ってないよ」

「目が嘘だって言ってるぞぉ!」

両手で持ったお盆を片手に持ち替えようとしたら、グラリと盆が揺れる。

「コラァッ! 丁寧に扱いやがれ! 俺の羊羹が落ちたらどうする!」

「ヒィッ、はい! ただいま!」