「ここは…」
車から降りた恵は見覚えのある景色に、一歩足を踏み出す。
「おいこら、ふらふらするもんじゃねえよ」
「行くのはこっちなンですよ」
「そうだぜ!」
そんなに言わなくてもいいのに、と恵は不服ながら振り向く。
ちゃんと明るいところで見ると、三人は兄弟なのか顔立ちがよく似ている。
なんだかなぁ、ちらりと三人を垣間見る。
拉致といった割には危ないことはされそうにない。
でも連れてこられたのは炯斗の家の前。
つまりは、比津次会の前な訳で不安はぬぐえないのだが、
──何か、緊張感がない…
拉致ってもっと怖いものだと思ってた。
なんて考えていると、その大きな門が開かれて二人は中へ連れて行かれた。
見た目は大きな普通の家。
一人がインターホンを押すと、ドタバタと騒がしい音の後、騒がしく玄関が開いた。
「帰ったか三バカ!」
「「バカじゃない!」」
──…なんて息の合ったツッコミ…
わらわらと人が出てきて中に入るどころじゃない。
騒ぎの蚊帳の外、言乃と恵は困惑した顔を見合わせた。
そんな屈強な男たちの後ろから、ひとつ見覚えのある顔が。
「あんたら二人は…炯斗の友達の!」
「「え?」」
男たちの動きが一斉に止まった。


