【ケイトくんを取られてしまいました】
「……はい?」
恵が首を横に倒す同時、二人の上に影が降りた。
え? と二人が見上げた先には、見知らぬ若い男。
「ちょっと今、聞き捨てならない言葉が聞こえたもんで、さ」
何の用かと二人は身を固くする。
男は厳しい瞳で二人を見つめて近付いた。
不穏な空気を感じて後退る二人の後ろから、さらに別の二人の声が。
「つまりは、あんたらに訊きたいことがあるンですよ」
「だから、ちょっと拉致るぞ!」
「ら…らち!?」
恵が真っ青になって叫んだ。
後ろからきたうちの、僅かに身長が高い方が困ったように眉を寄せる。
「素直に来てくれれば身の安全は保障しますンで」
「そういうもんだ」
じりじりと距離を詰める男三人。
あわあわとパニックに陥っている恵の手を握る言乃。
彼女も決して落ち着いているわけではない。
が、ひとつわかるのは“抵抗の無駄”。
「……ことのん…」
手は離さないまま。
二人は大人しく、道に停めてあった車に乗せられた。
そうして連れていかれたのは、意外な場所。
驚いたことに炯斗の家の前だった。


