翠「紫苑!」

紫「……何や?」

少しだけこちらを見ながら紫苑は立ち止まった。

翠「……必ず、彩華を倒し蒼希を見つけたるさかい、アンタは大人しゅう、寝ときなよ?」

紫「……ん。」

短く返事を返してそのまま紫苑は去っていった。

賢「無愛想な奴だな。」

その様子を見守っていた賢人が翠の隣に立ち呟く。

翠「仕方ないんですがね。」

と翠は苦笑するだけだった。

賢「…なぁ紫苑の奴、自分らの親はお前のせいで死んだって言っていたぞ。それってよ…」

翠「……あの子達は何も知らんから。知らん方が幸せな事もあるんやないかな。」

そう言って翠も歩き出す。――まるで何も言うなと言っているようだった。