血で汚れた肌が本来の極め細やかな姿になると痛々しい傷が浮き彫りになり、思わず暗い気持ちになってしまった。
翠「……余り私も上手くないけど、やらないよりマシやろ。」
懐から符を取り出した翠は静かに何かを呟く。だが小さすぎるうえ、早口なため何の術を発動させるのか紫苑にはわからなかった。
しかし視界の端に金色に輝く糸が見えた。
それがフワリと背中に降りたと思うとスルスルと傷に入っていく。
紫「これって…!」
翠「『金状金糸(コンジョウキンシ)』。
名の通り金色の糸が患部入り傷を繋ぎ合わせ癒す術。どう?痛みは引いてる?」
コクンと頷き、もう一度傷を確認する。
瞬きする瞬間に傷は塞がっていっている。
しかし2つ目の傷を塞いだ後、『金状金糸』はスウッと消えてしまった。
紫「消えたよ?」
翠「チッ!やはり一回では全ては治せんか。」
翠は舌打ちして救急箱に手を伸ばす。
翠「ごめん。私、治癒は余り得意ではないから完全には治せんかった。」
それから翠は残ってしまった最後の傷に薬をつけてガーゼを当て包帯を巻いた。

