陰陽姫 夜明けを見るものたち



白【…勘違いするなよ?あやつらは顔を突き合わせれば険悪になる。特別と言っても我らのように心は許しておらん。】

まるで自分の心を見透かしたように白棹が言う。

賢「じゃあ、特別って一体…」

白【我は何も言うまい。翠が言わぬなら我が勝手に話していい話ではないのだ。】

この話はおしまいと言うようにシッシッと手を振られる。

納得いかないが渋々と翠の後を追った。


翠「遅かったですね?何か問題ありましたか?」

縁側に出ると翠は庭に出ていつの間にか出ていた月を見ていたが賢人に気が付き振り返った。

賢「いや、少し白棹と話していただけだ。」

賢人も沓脱ぎの所にあった下駄を履いて庭に出た。

賢「何してんだ?」

翠に近付き頭に手を置く。

翠「月を…見ていました。月も随分喰われてますから。」

翠の言葉に賢人も月を見上げた。

賢「下弦の月だな。後数日で新月か。」

翠「奴らの狙いが黄泉の扉を開くことなら、新月までには全部の封印を解きに来ます。あれは闇の世界に通ずる扉ですから光を失う新月が絶対条件。」

ポツリと呟くように言った翠のその瞳はどこか暗い色を見せていた。