陰陽姫 夜明けを見るものたち



「だけど、その子は私の夫を殺したわ!」

その時、広間の周りで傍聴していた中で突然叫ぶ女がいた。

勘「…前守護者の信造様の奥さんだね。」

勘助は小さな声で翠に囁く。

「そうだ!いくら乗り移られたとしても、その子の手は血に染まっているんだ!!」

1人がそう言えば周りも同調して次々といずなを責める。

いずなは反論せずにジッとそれを聞いていた。

翠「お黙りなさい。彼女は今回の被害者です。」

「「「!?」」」

決して大きくはない、しかしよく通る声が広間に落ちる。

声の主、翠は立ち上がり周りを見渡した。

自然と皆が黙り、翠を見守る。

翠「では、貴方方は彼女を処罰しなければ気が済まぬと?」

「え、ええ、そうよ!」

たじろぎながらも頷くと翠はため息を溢す。

翠「蒼希!」

蒼「Σっ!はっ!」

突然名を呼ばれた蒼希は一瞬固まるもすぐに頭を下げる。

守護者に選ばれたとはいえ、翠が仮に選んだに過ぎないし、"草"である彼らの立場はやはり下だ。このような場面では礼儀をしっかりとしなければいけない。

翠「アンタは信造様の死を傍で見ていた。一時、拐われもした。そんな目に遭ったアンタに聞きたい。
彼女は罰せられるべきと思うか?」

皆の視線が蒼希に集まる。

蒼希は俯き、やがて翠を見詰め

蒼「…必要無いかと。」

否と答えた。