屋敷に入り長い廊下を翠の後ろに付いていく。
4人の視界には廊下と襖しかなく、翠がいなければすぐに迷子になるだろう。
「翠様。」
静かな声が翠の名を呼んだ。
振り返ると地味な着物を着た女性が2人。恐らく使用人だろう。
翠「何や?」
「ジジ様がお呼びです。」
「翠様にお客様です。阿部家の次男様がお待ちです。」
翠「! 兄様が…!わかった。先にジジ様の元に行く。兄様、いや、阿部家の方には少しお待ち下さいと伝えて。」
「「承知しました。」」
翠がそう言うと2人の女性は頭をさげ、廊下の奥に消えていった。
蓮「阿部ちゃん、だよね?来たんだ。」
龍「…良いのか?」
すぐに行かなくて。
口には出さないが、龍之介の目はそう語っていた。

