――黄泉の扉の中――
暗い黄泉を降りていくと、2つの光が見えてきた。
伊(あの少女が言っていたのはあれでしょうか?)
伊邪那美は急いでその光に近付く。
近付くにつれ、その姿がわかってきた。
伊【弱々しい光。殆どの力を亡者を止める為に使ったのですか。だが魂の存在でこれ程の力を持った者は少ない。生前はさぞ高い霊力を持っていたのですね。】
地面に倒れた一組の男女に声を掛ければ僅かながら男の方から呻き声がした。
【う…ぅ…伊邪…那美…?】
伊【私の代わりに亡者を止めてくれたのですね?】
もう一度言うと首を少し縦に振り、男は手を隣へ伸ばす。
【彼女は…彼女の魂は…無事ですか…?】
伊邪那美は2人の傍に膝を折ると女の方を見る。
伊【……残念ながら、あと数分で彼女の魂は消滅します。力を使いきったのでしょう。】
男は絶望したように目を見開き、それでも女に触れようと手を伸ばした。
【待って…お願いだ…待ってくれ…置いて逝かないで…】
ポロポロと涙を流す男の手に翠から預かったリングを渡した。

