陰陽姫 夜明けを見るものたち



翠「えっ…貴方は…」

須【某(ソレガシ)の名は建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)。天照と月讀の末弟よ。そなたの名は何と申す?】

フフンッと笑いながら自己紹介する須佐之男にポカンとするも、慌てて頭を下げる。

翠「か、神木 翠と申します。この地を中心に人ならざるモノから人々を護る陰陽師の一族の者です。」

晴【まさか三貴子(ミハシラノウズノミコ)が揃って現れるなんて…長生きしてみるもんだね。】

白【貴様は既に死んでいようが。】

呆れたように突っ込む白棹に、【あ、そっかぁ】と惚けた返事が聞こえるが正直頭が付いていけずそんなやりとりが右から左に流れていった。

天照大御神 伊邪那岐が黄泉より逃げ帰りその身を浄めた際、左目から化生した太陽の女神。

月讀命 天照同様、伊邪那岐が身を浄めた際、右目から化生した月の神。

建速須佐之男命 天照・月讀同様、伊邪那岐が身を浄めた際、鼻から化生し海原を治める筈だったが数々の狼藉のあまりに追放された荒神であり、後の英雄。

この神々は三貴子と呼ばれ、神話では必ず語られる有名な神なのだ。

そんな伊邪那美だけでも本来有り得ないのに三貴子まで目の前にいては晴明や白棹のように冷静になど無理な話であり酷ではなかろうか。