陰陽姫 夜明けを見るものたち



賢「誰だ!?」

賢人は翠を庇うように辺りを見渡す。

飛鳥も警戒を強め、何かあればすぐ動けるように錫杖を構えた。

【警戒しなくて良い。我らは味方だ。】

フワリと静かな声と共に翠の後ろから感じた気配に慌てて振り返ると、華奢な身体に中性的な顔をした恐らくは男性が半透明な状態でそこにいた。

翠「この気配、妖ではありませんね。どちらかというと…神、でしょうか?」

確認するように言えば男性は僅かに笑い頷く。

【それは弟の月讀命(ツクヨミノミコト)。名の通り月の神よ。今は妾の光のせいで半透明だがな。】

先程の凛とした声がもう一度聞こえ首を回すと、伊邪那美の隣に光輝く美女がいた。

賢「月讀命!?それが弟って事はまさか…!」

飛「貴女は…天照大御神(アマテラスオオミカミ)…ですか…!?」

呆然と呟く飛鳥。驚きすぎて先程とは打って変わって無防備になってしまったのは致し方無いだろう。

【驚きすぎて声も出ぬか。まぁ当然よの。我らを前にして気絶しなかっただけ感心だ。】

ガハハハと煩いくらいに大笑いする男の声に横を見ると、いつの間にかガッシリとした身体に髭が胸まで伸びたいかつい男がいた。