紫「この光、父さんと母さんの!?」

蒼「まさか、下にいた亡者を…!?翠、戻ろう!!肉体を持たない父さん達がこんなに力を使えば魂が消滅してしまう!」

蒼希は翠の肩を掴み言うが、翠は僅かに俯き

翠「…白棹、このまま前に。」

一言、そう言っただけだった。

蒼・紫「翠!/姉さん!」

白【良いのか?】

翠「…ええんや。これは"死者"である自分達の仕事って言うてた。父様も母様もそんなん望んでへんねん。それに私達は陰陽師や。"人成らざる者から人々を護る"事が"生者"である私達の仕事。
見誤るな蒼希、紫苑!」

厳しい声色だが、白棹は気付いていた。本当は翠が一番戻りたいと思っていることに。

白【……蒼希に紫苑、翠の事だ。共に戦うと言ったのだろう。しかし、今ここに留まれば上の連中が本当に死ぬぞ。勿論、ここに生者である我らがいてもあの数だ。亡者は生気と生身の肉体のある我らを餌と見なし喰い殺されるのがオチだろう。】

2人はグッと言葉に詰まる。

翠「2人を助けたかったら早く扉を閉めることが一番ええんよ。そして、伊邪那美を…黄泉津大神を戻すしか亡者は止まらん。」

白【!? 黄泉津大神だと!?まさかあれが!?】

翠「うん、だから急いで!」

白【承知!】

ダンッと強く壁を蹴る白棹。

蒼希と紫苑は納得は完全に出来ていなさそうな顔だが2人が戻る気も両親が望んでもいないことだとわかり、それ以上は何も言わなかった。

翠「見えた!行くよ!!」

蒼・紫「はい!」

眩しい程の光に戸惑いなく突っ込んだ。

あれからどれ程の亡者を吸収し、力をつけたのかわからぬ敵と今度こそ決着をつけるために!