陰陽姫 夜明けを見るものたち



【蒼希は泣かないのかい?】

父様はポンッと肩を組み蒼希に笑う。

蒼「泣くんは紫苑の役目。それに感傷に浸ってる暇もないやろ。」

蒼希はフッと笑い父様を見るが、すぐに目線を下に向けて眉を寄せる。

白【可愛いげのない奴よ。しかし、蒼希の言う通りのんびりしていては上の連中も死ぬ。】

白棹は翠を見据え、命令を待つ。

それに翠も頷く。

翠「……では、父様母様。……私達は行きます。」

【そうだね。3人とも死んでは駄目だよ!】

父様は一瞬だけ蒼希をその胸に抱き締め、ワシャワシャと頭を掻き混ぜた。

蒼希を解放すると次は紫苑と交換して同じように掻き混ぜる。母様も1人息子を抱き締めた。

【翠は貴女達を高く評価していたわ。貴女達の成長を直接この目に映すことは出来ないけれど、こうして再会出来た奇跡に感謝しなくてはね。】

蒼「俺は…俺達は父さんと母さんに本当なら顔向け出来ないんや。翠を…俺達を影から護ってきてくれた姉さんを沢山傷付けたから。」

母様の肩に額を乗せて呟く蒼希に翠は、そんなこと気にせんでええ言うたやんかと音にせず言う。

それを見て母様は何かを悟ったのか益々深く笑った。

【姉様は許してるようよ?それ以上は許してくれる姉様に失礼、ね?】

母様の言葉に僅かに頷くと一瞬だけ目を閉じ、そして静かに離れる。