翠「何とかして登らんと…皆、無事かな…」
堕ちる直前に聞こえた白棹の声。白棹があの場にいたということは拓海達も一緒の筈。白棹が彼らを置いてくるなんてありえへんもんな。
【あら?何かこちらに向かってくる。】
母様は後ろを見ると驚愕に目を見開く。
【なっ!何故あの方が!?】
【どうした…
!? あれは黄泉津大神(ヨモツオオカミ)!】
父様の言葉に振り返る。そこには肌から蛆が沸き、身体からは八種の雷神を化生した女性がこちら、というより黄泉の扉に向かって飛んできていた。
翠「黄泉津大神って確か夫婦神の妻、伊邪那美尊(イザナミノミコト)ですよね?
」
【そうよ。伊邪那岐尊(イザナギノミコト)と共にこの国と神々を創造したとされる夫婦神。】
ゴォッと凄いスピードで翠達の横を飛んでいった伊邪那美に吹き飛ばされないように足を踏ん張る。
翠「くっ…うぅ…!」
何とか踏み止まるが、伊邪那美を逃すと上に登れない気がする。出来れば運んで欲しかった。
翠は慌てて叫ぶ。
翠「い、伊邪那美様!お待ちください!」
しかし翠の叫びは聞こえず、伊邪那美はあっという間に上に上がっていってしまった。

