翠「ど…うして…」

【ここは黄泉。死者の世界。私達がいるのは当然でしょう?】

翠「そ、そうやけど!そうじゃなくって…」

【僕達にしてみれば何故君がここに生きたまま落ちてきたのかが不思議だよ。
それにしても大きくなったね翠。蒼希と紫苑は元気にしているかい?】

フワリと頭を父様に撫でられ、しかしその手が血の通った暖かさが無いことに泣きそうになった。

翠「わ、私は…今、現世で一族総出でお役目中なのですが…引き込まれてしまったんです。
それと蒼希も紫苑も今や立派な"草"になり、お2人が心配なさらなくても大丈夫です。」

【そんな敬語など…私達は家族なのよ?
…まぁ確かに、親らしい事なんてしてあげれなかったけれど。】

そう少し悲しそうに笑う母様に翠は慌てて首を振る。

翠「そんな!お2人は私の命を救って下さったじゃないですか!
ただ…私が慣れていないのです。私の両親は貴殿方でしかいないから、他の方々とそうゆう"家族"としての親しさが無かったから…」

翠は両親を殺されて、白棹をその身に封印されてから一族に蔑まれてきたことを正直に話せず、当たらずとも遠からずな事を慎重に言う。

あれから15年。もう子供ではないのだ。余計なことを言って両親に心配をかけたくなかった。