すると僅かに彼女から黒い影が離れ、彩華ともいずなともわからない憎悪の声がした。

【「ハァ…ハァ…ハァ…おのれ…邪魔立て…するな!」】

翠「!? キャア!!」

ブワッと彩華が掌に力を溜めて翠に放つ。

翠はそれを受け、後ろに体勢が崩れた瞬間

翠「!?」

賢「やめろー!」

扉から伸びた触手に掴まれ、黄泉に引き込まれた。

翠が最後に見たのは賢人の絶望に歪められた顔と

【なっ!?翠ー!!】

驚愕の声を上げた白棹の姿だった。