しかし、それを許す筈もなく年老いた男が1人の母親の髪を掴み床に引き倒した。
年老いた男はその母親に馬乗りになると短剣を懐から出して見せ付けるように首筋にあてがう。
全員動きを止めた。
女は怯えた目で男に必死にしがみつく彼女へ助けを求めるように見る。
しかし、彼女もまたしがみついた男から離れれば他の者が斬られると、動けないでいた。
若い男は大きく笑っているのか口を大きく開き、肩も震えている。
それに彼女は悔しそうに唇を噛むと、視界の端に動く影が見えた。
その影は馬乗りになった年老いた男に体当たりして素早く他の男をも殴り飛ばした。
そして彼女が掴んでいた男も気絶させると膝を折り手を差し出したのは動けないと思っていたあの彼だった。
彼は彼女を起こし、その肩を優しく抱き寄せると女達に何か叫ぶ。
女達は頭を下げ、急いで子供を連れて部屋を出ていった。
残された2人は一言二言と言葉を交わすと、ギュッとお互いを抱き締め合った。

