翠(!?)
目の前が真っ赤に染まった。
翠はカタカタと身体が震え、足から力が抜けそうになるのを歯を喰い縛って堪える。
振り下ろされた先にいたのは子供だった。
母親は悲鳴を上げ、彼女は驚愕で固まり、しかし次の瞬間には斬られた子供に駆け寄る。
その手は震え、しかし母親の手を引っ張り傷口をしっかり押さえさせて止血をさせる。彼女も傷口に手を添えると、その手は淡く光り治癒の術を行っていた。
一緒にいた女子供は混乱状態のように取り乱し、男達から少しでも離れようと部屋の隅に肩を並べ逃げる。
そんな彼女らに男は嘲笑い、クイッと顎で他の仲間に指示した。
その意図に気付いた彼女はハッとしたように治療の手を止めて、一歩進み出た奴の仲間の足に必死にしがみついた。
それに仲間の男は振り払おうとするもうまくいかず、彼女は怯えた女達に何か叫ぶ。
それに弾かれたように女達は子供を引っ張り走り出した。