翠(だとすると、これはいずなさんが私に見せているの?受け止めてとは?)

いずなの意図が掴めずも見ていると、先程出ていった者が桶に一杯の水と彼女を護っていたあの彼を連れて戻ってきた。

しかし、その姿は

翠(傷だらけ…拷問にかけたのか…!?)

顔は痣だらけ。上半身は裸で腕や腹から血が出ている。

背中も棒で何度も殴られたのか真っ赤に腫れていた。

彼は意識はあるようだが起き上がれず男の近くに転がされている。

若い男は桶を受け取り、その中身を彼女の顔に躊躇なくぶっ掛けた。

さすがに彼女も目が覚めて激しく咳き込む。

彼女が周りを確認するように見渡し、彼と女子供を見て大きく目が見開く。

それからキッと男を睨むと男はニヤリと口角を歪ませ、彼女と目線を合わせるように膝をついた。

男は何か彼女に言うと反論するように彼女も返す。

それに面白くなさそうに眉を寄せると近くにいた仲間に目線をやった。

その者は頷き、腰の刀を抜くと勢いよく振り下ろした。