陰陽姫 夜明けを見るものたち



翠「……名は?名乗れ!」

翠は刀を下ろすことはなく、いつでも斬れるように少女を睨む。

い「い、いずな…。この身体の持ち主よ。」

怯えたように身体は震えているが、いずなと名乗った少女のその眼は何者にも屈しない強い光を感じた。

翠「…ではいずな。貴女は今自分の状況を理解しているか?」

それにいずなはコクンと頷く。

い「ずっと見ていた。だから貴女方が何者かわかっているわ。来てくれると思っていた。貴女が彩華を倒しに来てくれると。」

賢「随分ハッキリ言うな。その根拠は?」

い「私はイタコなの。彼女の清らかな魂を信じていただけ。根拠など、身体を奪われた身としてはそれで充分よ!」

イタコ "口寄せ"で死者の魂を己に憑依させることの出来るもののこと。

翠「イタコ?イタコなのに奪われたのか?」

い「…戦っている貴女ならわかるはず。彩華の力を私ごときが抑えられる筈がない。それに…私は落ちこぼれで…霊魂をうまく自分の身体に降ろすことも出来なかったから…」

そう言って俯く彼女。恐らくその事が彼女のコンプレックスなのだろう。それを彩華に目を付けられ、無理矢理に憑依された。