陰陽姫 夜明けを見るものたち



彩【ようやっと姿を見せたな陰陽師ども。ここ数日は姿を現さぬ故、諦めたと思うたぞ。】

賢「…のわりには昨日から随分歓迎してくれてんじゃねぇか。」

皮肉交じりに言うが彩華はクスクスと余裕な態度を崩さない。

彩【妾は大蛇が行きたいと駄々をこねたので行かせたに過ぎぬ。しかし、よくもまぁあれだけの数を相手に犠牲を最小限に抑えたものよ。】

わざとらしく感心する彩華に怒りが沸き上がる。

しかし翠は緋月(アカツキ)を 愛しい人を妖に殺され、自らも邪神に身を堕とした哀れな武将を思い出した。

翠(いけない。憎しみで彼女と戦っては彼女はいつまでも本当の意味で成仏なんて出来ひん!)

翠は懐から結界用の符を取り出し四方に投げる。

翠「"邪抑結界"(ジャヨクケッカイ)!」

ピキーンと空気が張り詰め、邪気の流れが止まる。

翠「これで術者である私が解くか死なない限り邪気は外に流れないし亡者も出られない。賢人さん、今からここは邪気が溜まる一方になります。亡者もエンドレスで襲いかかる。いけますか?」

賢「大丈夫だ。」

たとえそれが強がりだとしても翠にとっては力強い響きだった。

翠「"霊戻し 発動!"」

ボフンと翠を中心に煙幕が上がる。

それにともない何人もの白い狩衣を纏った歴代当主が現れ、翠の傍には安倍 晴明が立っていた。