道「形を直し、能力を直してもそれが本当に扱えるかは妖刀師と使う者の力量次第。」

白【つまり、これはただの退魔刀ではなかったのか?】

白棹の問いに道成は柱に身体を預けながら2人を見下ろす。

道「いや、そうではない。それは名を"幾太刀(イクタチ)"と言って、"幾重の繋がりを絶つ"という意味らしい。
妖刀とは創った者の想いで出来ている。私が鍛え直したとて、それが再び輝くとは限らん。一度は以前と同じように使えよう。しかし、二度目はわからん。」

白【使えるかわからぬ刀を翠に返すのか?】

ジロリと睨む白棹に、フンッと鼻を鳴らす道成。

道「私が出来るのはここまでだからな。それ以上は勘助の成長を待て。
それに今回は御守りとして持っていろという意味で返すのだ。使い慣れた形見の1つくらいは、な。
それと古株どもは私にこの場を預けているが、皆お前の指示を待っている。早く来て作戦を伝えろ。」

道成はそう言って今度こそ部屋を出ていった。

翠「えっ?わた、私が!?」

翠は慌てて道成に聞き返すが既に居らず、暫し呆然としたがゆっくりと短刀に目を向ける。