陰陽姫 夜明けを見るものたち



翠「賢人さん、賢人さん…賢、人…さ…」

賢「安心しろ。俺はここにいるぜ?怖い夢でも見たか?」

俺のシャツを握り締めながらコクンと頷く。

翠「昔の…ゆめ…母様と父様が殺された時の…それにジジ様…も」

シャツを握る手が震えている。当然だ、コイツの一番深い心の傷なのだから。

翠「みんな…死んじゃった…ヒック…私を庇っ…グスッ…」

賢「翠…」

翠「もう…嫌なんや…誰も傷ついて欲しゅうない!なのに拓海に龍之介に蓮に飛鳥、貴方も私の目の前で殺される夢を見た。怖い…怖いよ、兄様…」

まるで子供の頃に戻ったように泣きながら縋る翠。俺の事も無意識だろうが、また"兄様"と呼ぶ。

こうして震える彼女はただの小さな女の子にしか見えなかった。