蓮「僕の妖気を君に送る。落ち着いて、治せるよね?」

落ち着かせるように肩を撫でる蓮に、身体の震えは治まらないが頷く翠。

翠は符を取り出し、意識を集中させる。

白【我も力を送る。大丈夫、我と樟葉の小僧と翠の力があれば通常通りの力が使えよう。】

頭に白棹の声が響いた。
実は今の翠の霊力はあの氷柱を作り出した時点でほぼ限界になるはずだった。

しかし、白棹が中に入り補助してくれたので僅かだがまだ残る程度に保っている。

それを蓮は見抜き自分の妖気を翠に流すのだ。

翠「"金状金糸"!」

金色の細い糸がスルスルと秋雅の傷に流れていき傷を修復していった。

秋「ガッ…ハッ…ハッ…」

少し傷を修復した為か、僅かに呼吸が楽になったようだ。

猿【秋雅…】

猿鶴は静かに秋雅の傍らに腰を降ろす。

秋「す…いよ…もう良い…傷を…治せ…ても…儂は…助からぬ…」

翠「何を!」

猿【本当だろうな。あれを見ろ。秋雅を襲ったのはアイツだ。】

猿鶴が指を指したのは飛鳥の攻撃で身動きできない半分蛇の姿をした男。しかしその半身は酷い火傷で今にもその命は尽きようとしているようだった。

そして奴の口元は秋雅の血と、赤紫色した液体が滴っている。

賢「まさか、毒!?」

大【クックックッ。そうさ、一瞬しか流せなかったが私の毒は強力でね。そこのジジィなら1分も持たなかろうな。】