そして、光が治まり辺りは再び闇に包まれた。

【…目眩ましか。逃がしてしまったな。】

ジャリ

土を踏み姿を現したそれは息をするのも忘れる程の美しい娘だった。

闇よりも尚漆黒の長い髪は腰まで届き、髪と同様の漆黒の瞳は何も写さず、ただ一点を見詰めている。そしてそんな闇の中、彼女の存在を主張するように白く透き通るような柔肌が僅かな月明かりでも存在を浮き上がらせていた。

【まぁ良い。封印さえ解ければ…】

フフフと妖艶に笑った彼女はくるりと背を向け、もと来た道を歩んでいった。


ガタン


激しく音をたて、2つの影が折り重なるように立派なお寺のような屋敷の門の前で倒れ込んだ。

「何だ?
……!紫苑、蒼希(ソウキ)!!」

紫「ハァハァ…ジジ様に…ご報告を…」

蒼「ハァハァ…第八封印が…破られた!」

息も絶え絶えに告げたその言葉の意味に目を見開く男。そして顔がソックリな少年2人を抱え急いで屋敷の中に入っていった。