同時刻 下鴨神社

ズボッ

ブワッ

【おお、力がみなぎる!】

【主様、残りは1つですね!】

沢山の妖を引き連れ出てきたのは黒髪の少女。

彩【…………】

【主様?】

黙ったままの彩華に妖達はどうしたのかと集まる。

彩【……今宵も、現れなかった。】

誰が、とは聞かなかった。あの夜以来、彩華が苛立っているのはわかっていたから。

彩【何故じゃ?あの男が出てきたのならば妾を邪魔すると思うていたのに、何故あれから姿を現さぬ?】

ブワリと彩華の周りに妖炎が見えた気がして妖達はジリジリと後退していく。

?【そのように主様のお心を掻き乱すのならば、私めが始末して参りましょう。】

彩【…貴様か、大蛇(オロチ)。】

振り返ると片膝を立て頭を下げる男がいた。

大【明日には黄泉の扉が開かれ、貴女様の念願が叶う。その前祝いに陰陽師どもの首を貴女様に献上しましょう。】

彩華は暫し考え、それからニンマリと笑った。