陰陽姫 夜明けを見るものたち



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賢「何だこれ?」

夜、街を見回っていた賢人が本家に帰ってくると、広い庭に幕や舞台が出来上がっていた。

蓮「あっ、阿部ちゃん!」

こちらに気が付いた蓮が手を振り、近付いて来た。

賢「樟葉、何だこれ?本家全員出てきてないか?」

賢人が指を指したのは先程の舞台とその正面に座る群衆。
さすが本家ともなるとその人数は数えきれず、おまけに式である妖たちも出てきているので広い庭がとても狭く感じる。

蓮「御当主が"戦勝舞"をやるって言ったんだ。凄いね、それだけで全員見に来たんだから。」

賢「戦勝舞を?へぇ、俺初めて見るわ。」

賢人は腕を組んで近くの柱に凭れる。舞台の近くは当主である秋雅がおり、その周りには古株も多い。

弟子である賢人は秋雅に街の様子を報告する義務があるが、たいした報告があるわけもないし第一この群衆を掻き分けて行くのが大変面倒だ。