翠「何が?霊力をコントロールするには一番良い方法だよ?」

白【いや、それではなく其奴の頬だ。】

ビシッと指を指したのは龍之介。その頬にはくっきりと手形がついていた。

翠「…あーうん、私もそれ不思議。一体何があったん?」

龍「…何でもねぇ。」

プイッとそっぽを向く龍之介。しかし、その瞬間に気が乱れたのだろう。結界が歪みバケツが大きく揺れた。

龍「Σうおぉっと!?」

慌てて気を張り直してバケツを落とさないようにする。

拓「大丈夫か?龍之介。」

龍「ハァ、あっぶねぇ…」

フーッと息を吐いて汗を拭う。今4人は霊力を自在に扱うため結界を張り、保つ練習をしている。霊力コントロールを始めたばかりの4人は少しでも気を抜けばすぐに結界は乱れ、保てず解かれてしまうだろう。

そうなれば頭の上にあるバケツはひっくり返り全身びしょ濡れになる。

蓮「龍之介のそれは自業自得。…全く、他に確認のしようがあるだろうに。」

片目だけ持ち上げ呆れたように龍之介を見据える蓮。いつもと違い、おどけた口調ではないのはそれだけ彼が集中している証拠だろう。