蒼「そう、だけど…今さら…!」

蒼希は悲痛な声で拳を握る。

そう、今さらすぎる。本当は解っていたんだ。翠は何も悪くないって。

だけど何かにぶつけなければ両親のいない寂しさに負けそうだった。辛さに涙が溢れてしまいそうだったから。

だから父さんや周りの大人達の言葉を鵜呑みにして、考える事も調べる事も放棄して翠を悪者にしていた。

こんな僕らが今さらどの面下げて彼女と話せと?

僕らが動かないのを見て、龍之介はツカツカと近付いてきた。

龍「……っだぁー、焦れってぇな!男なら腹ぁくくれ!!取り敢えず着替えろ!!」

紫・蒼「「Σうぉっ!?」」

グワシッと首根っこを掴まれた僕らはそのまま屋敷に連れていかれた。

蒼「な、何だよ!降ろせ!」

紫「イダダダダー!!き、傷が開くだろ馬鹿ー!!ιι」

拓「ちょっと龍之介ー?女の子は優しく扱わなくちゃでしょ?」

ピタッ

全員の動きが止まった。

龍「…お…女…?」

拓「ん?うん。」

蓮「…誰が?」

拓「紫苑が。」

「「「………………」」」

「「「はあああああぁぁぁ!?」」」

この日一番の絶叫が屋敷に響いた。