【ガッ…アッ…!?】

彩【貴様、誰に向かって命令しておるのじゃ?】

ミシミシと頭が軋みを上げているが、彩華は力を緩めずそのまま持ち上げる。

【も、申し訳…ありま…せん…!どうかお許し…を!!】

持ち上げられた妖はバタバタと足をバタつかせ許しをこう。

彩【フン。】

ブン

ドベシャ

興醒めだというように妖をぶん投げ、空を見上げる。

彩(まさかこうしてまた逢おう事になるとは思わなんだぞ。だが、邪魔はさせぬ。)

彩【今宵はここまでじゃ。帰るとしよう。】

クルリと背を向け闇に消えていく彩華。

上賀茂神社にいつもの静寂が戻った。
ただ違うのは、封印が解けたことと、彩華の心を酷く荒れさせた存在が現れたことだけだろうか。