闇を駆ける2つの影。

「来てるか!?」

「見たくもねぇ!」

後ろに迫る気配を感じながら相棒に声を掛けるとそう怒鳴り返された。

本当は見なくてもわかる。自分達の後ろから沢山の敵が逃がさないと言うようにどんどん距離を縮めていることに。

「こんままだと追い付かれちまうな…」

「諦めるな!」

ポツリと呟いた言葉に相棒は手を掴みしっかりと握ると、更にスピードを上げる。

そして

「目ぇ閉じてろ!

閃光弾!」

相棒が後ろに向かい丸い弾を投げた。

「うぉ!?ちょっ前触れ無さすぎ!!」

予備動作なく行動した相棒に文句を言いながらも慌てて目を閉じた。その瞬間

コン

カッ

「……っつ!」

「行くぞ!」

弾が木の幹に当たり、目を閉じてもわかるほど強烈な光が辺りを照らす。

だが、繋がった手を頼りに彼…紫苑(シオン)は迷わず駆け出すのだった。