映画が始まると私はずっとびびり。
必死に耳を塞いだり目をつむったり。
かなり怖がりなんです。
あー…夜寝れないよ。
それでも少しは見た。
でもやっぱり見れないと耳を塞ぎ、目をつむる。
その繰り返し。
琉は普通に見てた。
いいな…琉は。
私は耳を塞ぐ。
でも音は聞こえる。
怖い…
あー…ホラー苦手だ。
映画が終わってもまだ私はびくびくしてた。
「瑞穂、怖がりすぎ!」
「え?」
映画が終わり、劇場を出ると琉が言った。
「だ、だって…」
「俺は全然平気だったのに。」
「怖いもん…。」
琉のバカ…。
なんでホラー選ぶの?
「俺は怖いものなしだけどな。」
「琉は普通じゃないから。」
「そうか?」
「あー…夜寝れないよ。」
怖い…
トイレも行けるかな?
すると
「俺の部屋来る?」
琉は笑って私に聞く。
……え…
「な、何言って…」
「命令って言ったら?」
「はい?」
「俺と寝れば安心…」
「違う意味で怖い。」
「違う意味?どういう事?」
琉は笑って私に聞く。
「琉は何するかわからないから…」
「何されると思ってる?」
琉は真剣な表情で私に聞く。
何って…
「と、とにかく。頑張る。」
「ま、俺が瑞穂の部屋に行く手もありか。」
「来ないで〜」
「なんでだよ。」
琉と夜二人きりも違う意味でやばい。
怖いから。
「忘れろよ?瑞穂。たかが映画だし。よし、昼行くか。」
琉はそう言うと早歩きで歩き出した。
映画の恐怖は消えないけど
琉との一日の長さへの不安も
消えなかった。
一日が
長く感じる。


