琉のただのお世話係…。
「瑞穂、夏休みもよ。俺が遊んでやってもいいぞ?」
琉はゲーセンを出ると私に言った。
「えっ……」
「遊んでやるんだ。感謝しやがれ。」
「誰も暇とは…」
「彼氏いないし。俺が癒してやろうか?」
琉は笑って私に言う。
なっ…
確かに
彼氏いない歴16年だけど…。
琉がいけないの。
琉がいるから周りの男子と仲良くできない。
琉以外に仲良いのは
琉の親友の拓君のみ。
「夏休みなのに仕事じゃん、それ…」
「お前の休みは俺が決めるって事になってるんだ。逆らわせないよ?」
「琉は拓君とか他に遊ぶ人いるでしょ?」
私の周りは彼氏と遊ぶとかだけど…
「かなりいるよ。でも、去年は夏休みなかったから今年は夏休みなかった二人で。」
「あ、そっか。去年、受験…」
私は私立高校を志願した。
琉と同じ高校に行くのがきまりだから。
お世話係は辛い。
大学で琉と多分離れる。
高校までは琉と一緒。
琉のレベルに合わせると私には辛い。
だから去年は
琉や家庭教師をいっぱい雇い受かるよう勉強させられた。
夏休みなのにあまり遊べなかった。
頑張ってなんとか受かったけど…
高校の勉強はレベルが高いから
私は大変。
「夏休み、お前に勉強教えて俺もあんまなかったし。今年は付き合え。」
琉の教え方はまさにSだった。
バカにしたり怒ったり。
去年はろくなもんじゃなかったな…
「わかった。今日みたいに付き合うのね?」
「付き合うじゃねぇ。連れてってもらうだ。」
「はい…」
夏休みもかぁ…
琉に振り回されるんだ。
休みなしで夏休みも。
「今年は別荘に旅行だし。」
「へぇ……ってえっ!?」
「海あるし。夏らしい事しよ。まあ、ばあさんの提案なんだがな。」
き、喜美子さーん…


