琉、バカにするだろうな。


お前が浴衣かよ…とか。


すると


「見せろ」


……えっ……


琉は私を見つめて言った。


私は琉に浴衣の入った紙袋を渡す。


琉は紙袋から浴衣を取り出す。


絶対バカにする。


だけど


「浴衣か。着ろ。」


琉は浴衣を取り出すなり言う。


は、はぁ?


「ここで着替えるのは拒否。それに浴衣はお祭りに着るものだよ!」


「お祭り?」


「来週あるから。喜美子さんが私に買ってくれて…」


「ばあさんもやるなぁ。」


「は?」


私は琉を見る。


「じゃあ命令だ。お祭りは俺と行け。」


「えっ!?」


「嫌か?ま、拒否権はないけどな。」


「琉がお祭りって…」


金魚すくいとかやってる姿を想像して私は笑う。


「何がおかしい?」


「別に。」


琉とお祭りかぁ。


毎年夏はお祭り行けなかったから。



なんかわくわく。


でも


相手は琉かぁ…


「ねえ、琉は気にしないの?」


私は琉を見る。


「は?」


「クラスの子とか会うし、誤解されちゃうよ?」


琉と私が付き合ってるとか噂になったり…



「俺が行きたいんだよ。んなもん無視しろ。」


「琉ってお祭り初めて?」


「ああ。だから見てみたいだけだ。彼氏のいないかわいそうな女と行ってやるんだから感謝しろ。」


は、はぁ?


彼氏のいないって…


誰のせいでそうなってると?


でも


私も彼女のいないかわいそうな琉に付き合ってあげるか。


お祭り初めてなんだ…


さすがお坊ちゃま。


私は昔、両親や友達と行ったんだけど。


琉はお坊ちゃまだしね。


楽しんでくれると良いけど…


でも


明日も来週のお祭りも琉と一緒。


あー…なんか不安だな。


琉にはいつも振り回されるから。


毎日琉の言いなりだからマジ、ハラハラドキドキだよ!